溺愛伯爵さまが離してくれません!
グッと拳に力を入れ、立ち上がろうとした時でした。

ガチャリ、と部屋の扉が開き父が現れます。

「どうなされました?」

先程まで卑しい笑みを浮かべていたグレイスでしたが、父の登場によりその態度をガラリと変えます。
その態度の変わりようは驚くくらい素早いもので、今まであんなに下衆な話をしていた人間とは思えないくらいの変わりようでした。

父にこの話を言って信じてもらえるだろうか。
そう不安がよぎります。

ですが、そんな不安も父の一言ですぐ払拭されたのでした。


「グレイス殿・・・。取り込み中すまない。・・・その、悪いがこの話は無かったことにしてくれないか?」
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