溺愛伯爵さまが離してくれません!
「・・・どうした?ほとんど手を付けていないじゃないか」

「申し訳ありません。食欲が、あまりなくて」

「大丈夫かい?風邪でもひいたかな。すぐに医者を呼ぼう」

「いえ、それには及びません。少し疲れているだけですから・・・。ごめんなさい、先に失礼してもよろしいですか?」

心配する伯爵さまをよそに、逃げるようにその場から離れます。

あの場にいるのが惨めで、苦しくて。
そのままいてしまったら、私はきっと伯爵さまの前で涙を見せていたことでしょう。

なんとか零れそうになる涙を抑え自室へと戻ると、布団に顔を埋め声を押し殺しながら泣いたのでした。

これだけ自分が傷ついているのは、心のどこかで伯爵さまと思いが通じるのではないかと思っているからなのでしょう。
なんて馬鹿なんでしょう、私は。

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