強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「来い、大西。おいへっぽこSPども。とりあえずお前たち二人で彼女を警護し、事情を聞いておけ。人が足りなければ、高浜を叩き起こせ。じゃあ」
篠田さんはそう言うと、さっさと悠の背中を押し、自分の車に誘導する。
「ちょ、ちょっと待ってください」
慌てて篠田さんのスーツの裾を掴んでしまった。
怪訝そうな顔で振り返る篠田さんのつり目が、私を見下ろす。
「悠は、悠はどうなるんですか」
「どう、とは?」
「もう、悠は私を守ってはくれないんですか? 警察を辞めさせられちゃったりしませんよね?」
早口で質問すると、篠田さんはため息をついた。
「事実確認をするまで詳しい処分は決定できませんが、しばらくは警護に出られないと思ってください」
「そんな……」
それは、悠が私の担当SPではなくなってしまうということ?