強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「霧子、霧子……っ」
「悠ぁぁぁっ」
涙が溢れる。
我慢できずに駆けだそうとした私の手を、高浜さんが捕まえた。
「悠っ。お願い、離して。私も一緒に行かせてぇぇぇっ」
ぶんぶんと腕を振り回すけど、高浜さんの手はびくともしない。
それどころか、彼は暴れる私を抱きしめるようにして押さえつけた。
いっぱいに手を伸ばすけど、悠には到底届かない。
「待ってろ、霧子。このままじゃ、絶対に終わらせないから……!」
最後はパトカーの中で叫んでいたようで、よく聞き取れなかった。
無情にドアが閉められ、パトカーは発車していく。
残された私は、拘束の力をゆるめられ、その場に崩れ落ちた。