強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】


「そういえば、お昼ご飯も食べてなかったよね。お腹が空いたでしょ」


と言い、大西さんは勝手にキッチンへ。

あっと思うと、彼は勝手に冷蔵庫を開けていた。収納のためのカラーボックスも。


「……なんもないね。ビールとキムチだけじゃん」


わああ、見られた! そして、呆れられたー!


「いや、あの、ご飯なら炊けばあるし……あ、パン、ありますよ。食べます?」


今度こそ泣きそう。
情けなくスーパーで五十八円で買った菓子パンを差し出すと、大西さんは噴きだす。


「あはは。霧子ちゃんってしっかり者に見えるのに、意外と女子力低い!」


ストレートに言われ、胸に包丁がぐっさりと突き刺さるような痛みを感じた。しかも大西さん、大口開けて笑ってるし。


「ひどい……」

「や、だってその先生バージョンの格好、めちゃ女っぽいのに。冷蔵庫の中身、おっさんじゃん」


そりゃあ、学校ではちゃんとしていなきゃいけないんだもの。

今日はディープグリーンのアンサンブルに、ベージュの膝丈スカート。そしてシュシュでまとめた髪。

スカートを履いているだけで女っぽいだなんて。女性差別だわ。自分だって、女の子みたいな顔をしているくせに。



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