強面勘違い年下男と見た目詐欺なアラフォー女
2人はひぃと体を硬直。

勿論声の主は後藤君。

2人は恐る恐る、おはようございます、と返すが私も違う意味で返答に緊張する。

『おはようございます、後藤さん。早いですね』

『おはようございます。タイムカードを押しに寄っただけですので、直ぐに出ます。』

『○○さんの?』

『いえ下請けの方に。近所というか、自治会からクレームが入ったんで』

『あー…一応菓子折持って行かれます?
経費お渡ししておきますので、有事の際に使って下さい』

『えっ、でも』

『社長には私から報告しておきます。
後藤さんも一応社長に連絡しておいて下さい』

『…はい、有り難うございます。じゃ、いってきます』

『いってらっしゃいです……クレームかぁ。しかも自治会から』

『…緒川さん、よく後藤さんと話せますねー』

『…えーと、そう、かな?』

『怖いわ~後藤君。なんか近寄るなっ的なオーラがビシビシ感じる。普通にしててもあの顰めっ面って、眉間の皺取れなくなるんじゃないの?』

いやいやいや、みなさん。

その心配はご無用だよ。

笑った時、眉間の皺なんて1つもなかったから。

というのは私の心に納めておきましょう。

『顰めっ面なのはデフォだけど、仕事はキチンとするし』

『でも怖い』

『えーと…』

『いや反抗期の男?ってよりも目つきも鋭いわ三白眼通り越してるわ髪の毛短いわガタイは良いわで、濃いくて怖いわ』

『ホントですー。あれで細マッチョくらいだったらまだココまで怯える事もないのにー』

そういうモノなのか、女子の好みって。

ん?

というよりも昨日の今日で初顔合わせだったじゃないのか今!!!

…………………………………

ま、現実はこんなもんだ。

ドラマみたいに、メモをカサっと渡したりウィンク仕掛けられたりなんてナイナイナイ。

ない、んだけど。

心臓バクバクはした、な。
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