強面勘違い年下男と見た目詐欺なアラフォー女
『後藤さん』

『君』

『…後藤君、あまり滋さんの話題を出さないで頂けますか?』

『ナニか不都合が』

『私、今お試し期間中なんですよね?
だったら、後藤君をお試し中なんですよ?
商品で言ったら、自社製品を売り込むんじゃなくて他社の製品の紹介ばっかりしてるじゃないですか。
しらけるって言うのはそういう事です。
ちゃんと私に後藤君をお試しさせて下さい!!』

何かにつけて『長谷川さんは~』ばっかり言われると頭にくる。

俺に好きだと言って欲しいって言ったクセに、何でちょこちょこ小出しで滋さんの名前を挙げてくるの!!!

自分を売り込めよ!!!

お試し中なんだから私に自分を本気の本命にさせようって気はないのかって!!

って、私が熱くなってどうするの…。

とセルフツッコミ入れてたら

『後藤君、なんで顔赤いんですか』

『………いえ、その。自分を売り込むって』

???

『芙未さんに、ナニを売り込めればいいのかって、思って』

『なんでもいいんじゃないですか?
趣味の話とか、休日なにをしてるとか。
そういうのからじゃないんですか?』

『……あんまカッコイイ趣味持ってないんで』

『はあ』

『休日も、その、あんまり格好良くないし』

『……後藤君、売り込みでソレじゃあ勝てないですよ?』

『いや、だって、俺、芙未さんの事ばっか見てて、芙未さんの事いつも知りたくてで。
逆に自分を売り込めって言われても……』

『……奪う気だったんですよね?』

『…は、い』

『……どうやって奪う気だったんですかこれじゃあ』

『…強引に?俺の女になれよ的な事を』

『こんなに弱気なのに?』

『……』

『…うーん、まあ後藤君モテそうだからそういう苦労はなかったんでしょう。
解りました、少しずつ色々話していきましょう』

『モテ!?はっ!?俺が!?』

『違いますか?』

『この面でモテそうに見えますか!?』

『見えます。無骨な感じですがイケメンじゃないですか後藤君』

『…んな事初めて言われました』

『実は、私も昨日初めて告白されましたー』

『はぁ!!??』
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