短編集「堅苦しく、融通が利かない」
警備員「うるさいっ。お前の説教なんか、聞くもんかっ」

コント作家「…てかさぁ、俺、コント書きたいだけなんだよね。その大事な時間を邪魔されたくない。それだけだ」

警備員「うるさいっ。この女がどうなってもいいのかっ」

コント作家「構わんよ」

警備員「え?」

香織「ちょっと先生、なに言ってんですかっ?!」

コント作家「何が?」

香織「女性の方の命がどうなっても構わないって…」

コント作家「いや、本音…」

香織「物議を醸しますよっ」

コント作家「え、何よ」

警備員「……………」

香織「ほら、あの警備員さんだって、戸惑ってますよっ」

コント作家「なに、本気じゃなかったの?」

香織「本気じゃないでしょう。人生が嫌になって、こういう凶行に及んでるだけなんだからっ」

コント作家「君、さっきから、やたら難しい言葉、知ってるねぇ。さすが僕の追っかけ」

香織「いいんですよ、今はんなこたあ。…つか、追っかけじゃなく、助手です!」

コント作家「いや、助手と認めた覚えはないよ」

香織「助手じゃないですか。これだけ甲斐甲斐しく身の回りのこと世話してやってんのにっ」

コント作家「やってんのに、って上からだなオイ」

警備員「待てーーっ。俺を置いてけぼりにして、二人だけで盛り上がるなーーっ」

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