I love youを日本語に
「…引っ越すんだ」
「どうして」
トシは玄関のドアの前に立ったまま。
さっきまであれだけ寒かったはずなのに、
それなのに今は寒さを感じない。
「なんの偶然だろうな。
うちのばあちゃんにも病気が見つかってさ。
それで、年が明けたら入院するんだ。
そうすると家にじいちゃんひとりになっちゃうんだ。
じいちゃん、今まで家のこと全部ばあちゃんに任せっきりだったから、何もできないんだ。
だから、じいちゃんのところに引っ越すことになった。」
「いつから」
単語しか、出てこなかった。
でも、その短い言葉だけで、トシにはちゃんと伝わるんだ。
「1か月半前くらいからそういう話があった」
「なんで」
なんで、言ってくれなかったの?
「言えなかった」
「だから、なんで」
いくらでもあったはずでしょ。
毎日、毎日顔を合わせてたじゃん。
なんでもっと早く、教えてくれなかったの?
「ばあちゃんの件で落ち込んでるユウに言えるわけないだろ」
そんなの…っ
何も、言い返せない。
言い返せないけど、でも、だからって…