I love youを日本語に






気づくとわたしは人波に逆らって歩いていた。



気のせいだ、と頭の中のもうひとりの自分が言う。


そう。

きっと、気のせい。


でも確かめずにはいられなかった。


だって、気のせいじゃなかったら…




いろんな人にぶつかりながら食堂とは反対の方向へ進んでいく。


さっき、

辺りが真っ白になったあの時。


懐かしい匂いがした気がした。


匂いなんてそんな曖昧なもの、とは思う。


でも振り返った時、一瞬見えたその後ろ姿に気のせいじゃないかもしれない、という思いがよぎった。






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