I love youを日本語に
「中学の時からずっとユウは坂本が好きで、いつかふたりは付き合うんだと思ってた。
でもふたりの関係は変わらなくて、ユウはうちの高校に、坂本は別の高校行くって聞いて正直、チャンスだと思った。
……すっごい、本音を言うとユウが俺のこと慕ってくれてるのは分かってたしね」
ナオくんはそう言って少し恥ずかしそうに、だけどバツの悪そうな顔で笑った。
「ユウがマネージャーとして入部して、一生懸命働いてる姿見てたらやっぱり好きだな、って思った。
でもその時の俺はまだ補欠で、キャプテンで4番の俺を知ってるユウにその時の俺の姿は絶対カッコ悪く映ってるだろうなって思ってた。
だからレギュラーになるまで告白するのは止めようって決めてたんだ」
あの頃の、高校生の頃のわたしが知らなかったことが次から次へとナオくんの口から語られる。
驚きと戸惑いを隠せないわたしはただ口に手を当てて、ナオくんの話を聞いていた。
「だから初めてレギュラー入りできた日にユウに告白したんだ。
正直、OKの返事もらえるとは思ってなかったからOKって言われたときはめちゃくちゃ嬉しかった。
でも」
そこでナオくんは言葉を切った。
”でも”で区切られたことに胸がざわつく。
「付き合い出してやっぱり分かるんだよ。
ユウが俺のこと好きじゃないって。
それともう1つ。
ユウは自分が坂本のこと好きだって気づいてないことに気づいた」
ナオくんは超能力者か何かなんだろうか。
わたしが思っている以上にナオくんはわたしのことが分かっている。
「その時の俺はこの状況は都合がいいな、って思ったんだ。
このままユウが坂本のことが好きだって気づかずに
俺のことが好きだと思い込んで、
それがいつか思い込みじゃなくなれば……いや、思い込みじゃないように俺がそうさせるぞ、って決めてた。
今思えばどんだけ自分に自信あるんだよ、って感じだよな。
まあ、それだけ…自分自身を見失うくらい、必死だったってことかな」
ナオくんはまた笑う。