星になれたら
「ヨースケ-!!」




「亜矢ぁ…」



びっくりするほど明るい笑顔で亜矢は僕のほうへ走ってきた。


亜矢のよく通る声が、僕の名前を呼ぶ声が辺りに響き渡ってみんなが僕らを見ている。



濃いピンクのキャミソールにデニムのミニスカート、亜矢が僕のために頑張ってくれた女の子な格好。

走りづらそうにしているからあのヒールのあるミュールもめったに履かないんだろうな…。




亜矢は僕の側まで走ってくると右手を引っ張ってグイグイ進んでいく。




「亜矢ぁ、どこ行くの?」



「あん?…デ-ト♪」


亜矢はにやりと笑って振り返る。



「じゃなくて、行き先…」


「…あ、ええと…普通のデートってどこいく?」


「え?…遊園地とか、水族館とか、買い物とか」


「ふ-ん…ヨースケ、デートしたことあるんだぁ~」

亜矢は唇を尖らせながら話した。



「…え?ないの?」


「…」


「まさか…初彼?」


「…悪い?」


「ううん、いいんじゃない?亜矢チャンまだ15歳でちゅもんね~?」


僕はニヤニヤしながら亜矢をからかう。



亜矢はふいに僕の胸ぐらをつかむと顔を近づける。
そして色っぽい声でささやいた。




「…初めてなの…優しくしてね?」



色気攻撃に見事にひっかかり鼻の下を伸ばしている僕の頬を亜矢はニヤニヤしながらつねった。




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