私のイジワルご主人様
飲めないとなるとなぜだか飲みたくなるもので。
あたしはしばらく紅茶を飲む鴻上くんの喉仏を眺めていた。
まるで気分は砂漠にいる従者とご主人様。
ご主人様が日よけのついたラクダの上で飲み物をあおっているのを、従者は焼けつくような日差しを浴びながら眺めている。
足もとには熱い砂。
自分の手にあるのは開けられない飲み物。
従者はご主人様ののどが潤されていくのをただじっと待つしかないのだ。
ーま、だからといってご主人様の飲み物なんて畏れ多くていただけないけどね。
平凡なあたしからすれば、鴻上くんは王子様みたいな存在。
そんな人が口をつけたものなんてもらえません!!
…だ、大体そんなことになったら、鴻上くんと、か、か、間接キスになってしまうじゃないっ。
「飲みたい?」
「ほぇっ!?」
脳内 妄想を繰り広げていたところに声をかけられてあたしの声が裏返る。