私のイジワルご主人様
静かな教室に聞こえるのは紙を重ねる音とホッチキスの音だけ。
鴻上くんはあたしの邪魔をしないようにするためか、一言もしゃべらなくなった。
ふたりだけの空間は居心地がいい…って言いたいところだけど。
そんなはずはなくて。
この沈黙はそんな甘ったるいものじゃなくて。
あたしが鴻上くんから感じるのは「まだ終わらないの?」という無言の圧力。
それに耐えながら必死で手を動かす。
その甲斐あってプリントは着実に減っていく。
しばらく作業を続け、大分減ってきたところで、
「ねぇ、ワンちゃん」
しびれを切らしたらしい鴻上くんが声をかけてきた。