私のイジワルご主人様
「ありがと。がんばって選んだんだよ」
ニコッと笑って見上げると、鴻上くんは面白くなさそうな顔であたしの頬を軽くつまんだ。
「…変な顔」
へ、変って…
鴻上くんがつまんでるからじゃない!!
視線で抗議するあたしとは対照的に鴻上くんは満足そうな笑みを口に浮かべた。
その自然な笑みを前にして「離して」という言葉があたしの中から消えていく。
もう離してくれなくていいから、あたしだけにその笑顔を向けて欲しい。
……なんて、ね。
きっとそんなことを言ったら、鴻上くんは離れていってしまう。
側に置いてもいいと思ったのは彼女ではなく、犬だったんだから。
告白したあの日から鴻上くんはあたしのご主人様。
忠実なワンちゃんはご主人様を困らせたりしない。