◇君に奇跡を世界に雨を◇
 

「それはまた大層な悟りを開いちゃったね」

思わず苦笑いすると、ユウもクスクス笑った。

「……でもね、ぼくもこの世界は奇跡で溢れてるって、信じてる。だから、信じていれば奇跡はきっと訪れてくれるんだって」

ユウの声に顔を上げると、真っ直ぐに私のことをみつめていた。
視線が絡んだ途端、その眼差しの真剣さに私の鼓動は早くなった。





なぜだろう、不思議な男の子。
優しく儚い雰囲気なのに時折見せる真っ直ぐな表情が、私の胸を締め付けた。






 



 
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