◇君に奇跡を世界に雨を◇
「仕方ないよ。おばけとロミオは夜中に来るもんだって昔から決まってるんだ」
ユウのおどけたような返事に私は目を閉じた。
真実を知りたいのか、知りたくないのか。
自分でもわからない。
ただ、聞いても聞かなくても、どうしようもなく切ないのは変わらないんだろう。
だって、ユウが何者なのか、きっと私はもう気付いてる。
「……そういえば、1000万円分の宝くじは当たったの?」
臆病な私は、明るい声を出して話題を変えた。
ユウも小さく息をついてから、いつもの優しい笑顔を浮かべる。
「当たったよ。今度こそ1等2億円。奇跡の男はその2億円で事業をはじめて今ではものすごい大富豪になった」
「うそぉ!」
1000万円も買えば1等当たるもんなんだ!
私が驚いて思わず身を乗り出すと、
「ウソ」
ユウはぺろりと舌を見せて笑った。
「え、嘘なの? ひどーい! 全部作り話?」
どおりで、変な話だと思った!