◇君に奇跡を世界に雨を◇
 

雨に濡れた木々が
水に沈んだグラウンドが
窓ガラスについた水滴が

沈んでいく夕陽を反射して、キラキラと輝いていた。

世界中が、真っ赤に光っていた。


燃え尽きる直前の、最後の輝きのように。



「ぼくの最初で最後の告白の相手が、きみでよかった」

そんな清々しい顔で笑わないでよ。
お願いだから。

「だめだよ……。こんな告白、認めないよ」

目の前に立つユウに、ベッドで眠るユウに、届くように必死で祈る。

「本当に私が好きなら、眠ったまま告白なんてしないで! ちゃんと、その目を開けて、起き上がって、私を見て好きだって言ってよ……」


神様
どうか…………。

「ごめんね、これがぼくの精一杯だ」


にゃ――。
窓の外で、雨が鳴いた。


< 39 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop