大好きな君の嘘
今夜の客も、島田屋


「君菊…疲れた顔して、どうしたんや?」

「え?そんな顔してます?」

「寝てないんやろ?」

「はぁ~島田屋はんには、敵わんなぁ
ちょっと寝られへんやってん」

「仕事休むと、また番頭に怒られるんやろ
君菊の寝顔を見ながら、ひとり酒も
ええやろ」

「あかん!!そんなことしたら、それこそ
大目玉やわ!!一緒に飲みましょ!!」



意地をはり言ってみたものの


少し酒を飲むと
目の前が揺れた


「何もせえへんから、おいで」


クラリと島田屋にもたれ、寝てしまった



それほど、島田屋に心を許していた


「おにぃちゃん…」


君菊の寝言に、ポロリと涙を流した



君菊には、妹のことは話してなかった



嬉しくて島田屋は、君菊の肩をトントンと
目が覚めるまで撫でた



「ん~ はっ!!あかん!!寝てた!!」


「クスクスッ 君菊、よく寝たね」

「/////おおきに」




モジモジしながら、島田屋の着物を摘まむ


「あの… 島田屋はん
よく眠れました…
あの… うち、その…」

「ぷっ 大丈夫!
大人しく寝てたで!」


「ホンマ!?
うち、よく寝言を言うんやて、お兄ちゃんが…あっ従兄ですけど
笑われるんです/////」


「そうか
ええ子にしとったで!」


「よかった!!」




島田屋が初めて、君菊の本当の笑顔を見たのだった








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