大好きな君の嘘
翌日


「お手伝いに来ました」

「大丈夫かいな?」

「よぉ寝た」

「仕事は?」

「…した 一応」



山崎から疑いの目で見られるが

確かにすっきりした顔色


「ほな、藤堂さんがお目覚めやから
包帯変えたって」

「わかった」



君菊は、自分でも不思議だった

あんなに皆のことを避けてたのに

今は、皆の役に立ちたくて仕方ない


「花!ありがとうな!!」

「いえ」


「んー気持ち悪い~」

「沖田はん!大丈夫?はい、お水」

「ありがとう」


「花ぁーー!!包帯代えてくれ!!」

「はい!永倉はん、そこ座ってな」


「花 ちょっと休憩しな!」

「原田はん、おおきに!」


「花 この前の本の続き、どーぞ
いつでもいいから、夜更かしをしないようにね」

「山南はん、おおきに!」



井戸のそばで、包帯を洗う



「よぉ ありがとうな」

「ひっぃぃ~」

「お前なぁ 恐いものみたような声出すな
俺が脅かしてるみたいじゃねぇか」

パタパタと包帯を干した


「そんなこと言うたかて、なんや
怖いんやもん
土方はんが、しわしわはんになってるのが
あかんのや!!」

「……俺のせいかよ」



廊下の土方が立つ足元に腰掛けた



「土方はんは、うちの敵やからな!!」



言葉とは裏腹に、久しぶりの笑顔だった


「敵で上等だ!」


「ホンマ土方はんは、しわしわはんやな
笑っててや
土方はんが笑ろてたら、皆も心強いんやで」


隣に腰を下ろした土方の眉間を

久しぶりに撫でた




「この前のことだが…」

「そのことやったら、ええよ
誤解してるって、気づいてたし
それに… お金も貰ったんやから」

「俺は」

「もお!!ええって!!
これ以上言われたら…」



(後悔しているみたいや…
実際、土方はんは、してるんやろ
でも、うちは好きな人と出来てよかったって思ってるのに…) 



「なんでもない… 帰りますね」





置屋に向かって

トボトボ歩く

(なんで、ツンケンしてしまうんやろ
…あれ )

目の前がクラクラした


「大丈夫かい?」


声をかけられた蕎麦屋で、休ませて貰った


「おめでただろう?」

「へ?」

「子がおるんやろ」

「え?どこ?」

「どこ…て、ここや」


お腹を撫でられ


(そういえば…
月のものがしばらくきてない
わぁ どないしょう
何もわからへん!!!)


「あの!!どうしたら、子が産めます?」

「あんた… しらんのかいな…」



仕事の支度時間まで、蕎麦屋に色々と

出産について教えて貰ったのだった
























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