博士とわたしのクローバー

ピピッ
機械音が鳴った。
博士が機械に近づき子ねこを抱いて戻ってきた。
「わあっ可愛い・・・」
優花は子ねこを抱きかかえてつぶやいた。
「名前は君がつけていいよ。」
「いいんですか!それじゃあ・・・」
優花は少し悩むと、
「クローバー!」
「クローバー?」
博士がすこし驚いた様子で聞いてきた。
「はい。あの、この子が入ってたダンボール箱の中に四つ葉のクローバーが入ってたんです。」
「ふうん・・・」
博士が少し考えて口を開けた。
「もしかしたら・・・そばに傘がなかったかい?」
「え・・・は、はい。そばに壊れた傘がありました。」
予想外なことを聞かれたので戸惑ってしまった。
「うーん・・・それならこうとは考えられないかい。クローバーは飼い主に可愛がられていたが、ある事情で飼えなくなった。だから他の人に可愛がられる
ようにダンボール箱の中に四つ葉のクローバーを入れていたんだ。傘を置いておいたけど風で飛んでしまった。」
「あっ確かにそうですね。」
優花はクローバーをなでながら言った。
「クローバー、良かったね。私に拾ってもらえて!」
「ニャ?ニャーン!」
博士は微笑みながら机に向かい何か書いている。
すると、優花が聞いた。
「あの、この研究所には博士しかいないんですか?」
「ああ。一人で研究している。」
優花は覚悟を決めて言った。
「それなら、私を助手にしてください!」
「え?」
「私は16才ですけど訳あって学校には行ってませんし、暇ですし。クローバーを治療してもらったり、飼ってもらうんですから。おねがいします!」
「うーん・・・」
博士はすこし考えたが、
「それなら明日から手伝ってもらおうかな」
「やったぁ!」
クローバーとじゃれながら博士の方を見る。
髪の毛は黒で肩の長さまであるのを結っている。
なのに瞳は濃いブルーだ。
顔立ちはイケメンというかダンディというか・・・かっこいい。
歳は35歳くらいかな。
焦げ茶色のズボンに紺色のシャツを着ている。
あれ・・・何処かで見たことがあるような・・・
次の瞬間、
「あーーーーーっ」
思わず叫んでしまった。
「どうしたんだい?」
「も、も、もしかして、ジョイ博士ですか!?」
ジョイ博士といえば、動物の遺伝子の研究でさまざまな論文を書いたりしている超有名人だ。
「ああ・・・バレてしまったね。気づかれないようになるべく外には出ないようにしているんだけどね。」
「・・・」
思わず絶句してしまった。
私はとんでもない人の助手になってしまったのかもしれない・・・
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