きみへの想いを、エールにのせて

心をのぞかないで


『ちょっと茜!』


次の日。
スマホが鳴り電話に出ると、第一声から大きな声。


「なによ、泉」


いきなり不機嫌全開なのは、泉だった。
ここ数日、バタバタしていて会ってもいない。

水泳部が正式に認められたことだけはラインしたけど、卓君のことはラインなんかでは伝えられなかった。


『なによじゃない。今から行く』

「あっ、午後から部活……」


泉は私の言葉聞き終わる前に電話を切った。
この調子では、卓君のことが耳に入ったに違いない。


それから20分。
泉は予想通り理佐を伴ってやって来た。


「いらっしゃい」

「お邪魔します」


ふたりは仕事が休みだった母に挨拶をすると、勢いよく私の部屋になだれ込む。


「茜!」


いきなり大きな声を出したのは、理佐の方だった。
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