きみへの想いを、エールにのせて

本当は、どうして私と付き合おうとしたのか聞きたい。

でもその前に、水泳選手としての気持ちを聞きたい。


「わかった。やるからには表彰台を目指す」

「うん!」


彼がそう覚悟を決めてくれたならうれしい。


「でも……」


彼は再び口を開いたけれど、その先はなかなか言わない。
だけど、「ふー」と大きな溜息をつき、意を決したように口を開いた。


「そうしたら、茜は俺のことを見てくれるのか?」

「えっ……」


それはどういう意味?


「なんでもない。そろそろ帰るぞ」


立ち上がった彼は、再び私の手を握り歩き出した。
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