きみへの想いを、エールにのせて

「はい。それじゃ、これで」


彼は150円ぴったり払ってくれた。


「あの……。チョコ、お好きなんですか?」


このまま行ってしまうと思ったら、口が勝手に開いていた。


「あぁ、うん。女の子みたいだろ?」


「そ、そんなことありません。私も大好きで」と口にしてから、耳まで熱くなっているのに気がついた。

チョコを好きだと言っただけなのに、結城君に告白したかのようなパワーを使った。


「水泳、頑張ってください」


本当はこれが一番言いたかった。
すると彼は驚いた顔をして……。


「俺が水泳部って知ってるの?」

「あっ、いえ。あの……」


しまった。
余計なことを口にしてしまった。


「水泳が好きなんです。だから時々試合を見にいったりするので……」


慌てて取り繕うと、彼は意外にも笑顔を見せてくれた。

本当は偶然彼を見て、水泳が好きになった。
だから逆、なんだけど。
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