秘密のカレはV(ヴィジュアル)系




「遅かったのね。またレコード会社の人と話し合いだったの?」

「いや、今日はまた別の用事…」

「そう……」

昨日、あんなことがあったっていうのにまるで何もなかったみたいな会話…
でも、このままってわけにもいかない。
やっぱり、昨日のことは話さないと…



「あ、あのさ。」
「あのね…」



俺とかおりの声が重なった。



「あ、ごめん…何?」

「瑠威から言って。」

「え…?あ…うん。
あの…蒸し返すみたいで悪いんだけど…」

「昨日のことね?」

「あぁ…話さないわけには…いかないよな?」

「……そうよね。」

俺達は、ソファーに並んで腰かけた。



「昨日は本当にごめんなさい。」

「何もかおりが謝ることないだろ?」

「あるわ…私……嘘を吐いてたから…」

「……嘘?」

かおりは深く頷いた。



「今日ね、望結にも言われたの。
瑠威とちゃんと話すようにって。
あの子にも、昨日のこと、話したわ。」

「そう…」

そして、かおりは話してくれた。
なにもかも…



俺のためを思って、俺のために身を引こうとしてたこと…



俺は危うく、かおりのそんな嘘に惑わされてしまうところだった。
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