秘密のカレはV(ヴィジュアル)系
我ながら良いことを言った!
こう言えば、いくらさゆみだって探すのやめるよね…?


「確かに、あんたの言う通りだね。
クロウさんや瑠威が住んでるのはここじゃないのかもしれない。」

「ねっ!ねっ!そうでしょう?」

やったね!
これで、今日は放免されるよ…!



「でもね、璃愛…住んでるのがここかどうかは重要じゃないんだよ。
とにかく、クロウさんが現れたら、そのあとをつける!
そうすれば二人の家がわかるんだから…!」

「うっ!」

さゆみの言う通りだ…!
すっかりそのことを忘れてた…!!



結局、その日はショッピングセンターの閉まる午後9時まで、クロウさんを探し回った。
でも、みつからなくて…

それはそれで良かったのだけど、とにかくもうくったくたに疲れてしまった…
そりゃあそうだ。
昼過ぎから一体何時間うろうろしてると思ってるんだ!



「璃愛…今日は残念だったけど、また頑張ろうね!」

なぜだ~!?
私はこんなにくたくたになってるのに、なんであんたの心は折れないの!?
なぜ、そんなにさわやかに笑えるの…??



「じゃあね~!ばいばーい!」

笑顔で手を振るさゆみの姿を、私は引きつった顔で見送った。

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