ヒーローのそばで。
「…………帰ろ。」

私は机の横にかけてあるカバンをとると同時に立ち上がった。

そのタイミングで教室の窓が開いた。

そこにいたのは顔だけイケメンの性格最悪な隣のアイツだった。


「なにやってんの?」

いや、こっちが聞きたいんですけど!

「帰ろうとしてたとこですけど。」

私が素っ気なくそういうと、アイツは何も言わず私の方へ歩いてきた。

今度こそなにかされると思った私は、すぐさま逃げの体制に入った。

でも、アイツが口にした言葉は不意打ちで────。




「お前、桜楽っていうんだな。俺、鏡原 春河。よろしくなっ!」



アイツ………、鏡原くんはニコッと笑ってそのまま教室を出ていってしまった。

何をするでもなく、ただそれだけ言って。

私が顔を真っ赤にして動けないでいるとも知らずに……。
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