As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
「もうこれで分かったでしょ?あいつは化けの皮を被った狼だってこと」
「……うん」
「千代がこれでけじめがつくって言うから来たけど、僕はもう千代を危ない目に合わせたくないよ」
「ごめんね」
「だから……僕にはなんでも話すこと。出来るだけ傍にいること……って言いたいところだけど、仕事で会えない日も多いから、とにかく頼れる人の傍にいること。StarRise のメンバーとか」
「うん、分かった」
「よしよし」
私の頭をそっと撫でた。
「う……なんか変な気分」
「変な気分って……」
「だって、いつもは私が悠太をよしよししてたのに、今は悠太にされてるから」
「へへん、今は僕の方がはるかに背が高いし、この状態なら千代より僕の方がこうやってよしよし出来るんだよ〜」
ドヤ顔……少しムカつくなぁ
「わ、私だって!」
グッと背伸びをして手を伸ばせばギリギリ届くけど、少し辛い。
「ちょっ……ち、近い……」
「ほ、ほら、私だって出来るでしょ?」
そろそろ足がプルプルする……
「ねぇ、あのカップルこんな所で大胆だよね〜」
「わ、本当だ。羨ましい〜。てか、あの男の子めっちゃカッコ良くない!?眼鏡してるからわかんないけど、どっかのアイドルとか?」
「どーだろ?顔良く見えなーい」
どこからかそんな声が聞こえて、ここが道の真ん中だということに気がついた。
は、恥ずかしい……
や、やめよう。
「……わっ」
ガクッと足がもつれ、姿勢が崩れた。
「っと、大丈夫?千代」
「あ、ありがと……」
悠太が私の腰を支え、なんとか転倒は免れた。
「ここは人が多いし、いくら変装しててもジッと見られたらバレちゃうかも。あっちの道に行こ?」
「うん」
伊達メガネを掛けている悠太。
私は『それだけで大丈夫なの?』って聞いたけど、本人曰く『変に変装しても、帰って目立っちゃうから、僕はこれだけで充分』って。
そうだよ、悠太は人気アイドルなんだから、私といてスクープにでも載ったらどうしよう。
今更な感じもするけど。
今のところ写真は撮られてないみたいだし、大丈夫だけど……少しは気をつけなくちゃね。