As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー




「もうこれで分かったでしょ?あいつは化けの皮を被った狼だってこと」




「……うん」




「千代がこれでけじめがつくって言うから来たけど、僕はもう千代を危ない目に合わせたくないよ」




「ごめんね」



「だから……僕にはなんでも話すこと。出来るだけ傍にいること……って言いたいところだけど、仕事で会えない日も多いから、とにかく頼れる人の傍にいること。StarRise のメンバーとか」




「うん、分かった」




「よしよし」



私の頭をそっと撫でた。



「う……なんか変な気分」




「変な気分って……」




「だって、いつもは私が悠太をよしよししてたのに、今は悠太にされてるから」



「へへん、今は僕の方がはるかに背が高いし、この状態なら千代より僕の方がこうやってよしよし出来るんだよ〜」



ドヤ顔……少しムカつくなぁ



「わ、私だって!」



グッと背伸びをして手を伸ばせばギリギリ届くけど、少し辛い。




「ちょっ……ち、近い……」




「ほ、ほら、私だって出来るでしょ?」




そろそろ足がプルプルする……




「ねぇ、あのカップルこんな所で大胆だよね〜」



「わ、本当だ。羨ましい〜。てか、あの男の子めっちゃカッコ良くない!?眼鏡してるからわかんないけど、どっかのアイドルとか?」



「どーだろ?顔良く見えなーい」



どこからかそんな声が聞こえて、ここが道の真ん中だということに気がついた。



は、恥ずかしい……


や、やめよう。



「……わっ」



ガクッと足がもつれ、姿勢が崩れた。




「っと、大丈夫?千代」



「あ、ありがと……」



悠太が私の腰を支え、なんとか転倒は免れた。




「ここは人が多いし、いくら変装しててもジッと見られたらバレちゃうかも。あっちの道に行こ?」



「うん」




伊達メガネを掛けている悠太。



私は『それだけで大丈夫なの?』って聞いたけど、本人曰く『変に変装しても、帰って目立っちゃうから、僕はこれだけで充分』って。





そうだよ、悠太は人気アイドルなんだから、私といてスクープにでも載ったらどうしよう。




今更な感じもするけど。



今のところ写真は撮られてないみたいだし、大丈夫だけど……少しは気をつけなくちゃね。



< 32 / 126 >

この作品をシェア

pagetop