As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー






玲が、不意打ちで美琴にキスをする。





「美琴っ……!」




「へ?」




玲が、窓の外を見つめる美琴の腕を引き……




「……っ!」




私の振り返るタイミングと、流くんがキスをするタイミングがズレ、感触は唇ではなく頬に……



「あ……」


2人して、顔を見合わせた。



1秒ほど見つめ合うと、ふっと笑いがこみ上げた。




スタッフさんたちも笑っていた。



NGだ。




「ははっ」




なんでだろう、変に笑いが出てしまう。




「ふっ、完全にズレたな」




「だね」




そして、もう1度やり直す。



「美琴っ……!」



今度こそ



「っ!」



唇が重なった。



そして、戸惑いながらも、二人は見つめ合う。




「美琴、俺はお前が好きだ。昔からずっと」



「玲……」




「……み、美琴?それに玲も」




ガラッと扉を開け、動揺する奏が入って来る。



「奏か」



「今、何してたの?」




「……俺は美琴が好きだ」




「そんなの……ずっと知ってる」



不穏な空気が漂う。




「二人とも……!ねぇっ……」




「俺だって、美琴のことが好きだよ」



「え……?」



「ああ。でも、お前には譲らない」




その後も、撮影は続いた。






「今日もお疲れ様。いやぁ、いい感じになってきたね。第1話の放送、来週からだから、ドキドキするねぇ〜」



監督が、上機嫌に言う。



いよいよ来週、地上波放映されるんだ。



雑誌の時なんかとは、規模が違う。



その分、緊張が高まる。



見たくはないけど、一応録画しておこう。



自分がどのくらいの実力なのかを知っておきたい。




そういえば、来週のドラマに先駆けて、色々な番組で宣伝をしなくてはいけない。




実は、もう既に幾つかの番組の収録を終えている。






「今日はちょっと飲みにでもどうだ……って、君たちはまだ未成年だったね。ははっ」




「成人したら、是非連れていってください」



流くんが、うまく相づちをした。



「そうだねぇ、その時までしばし待つことにするさ」



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