As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
あれ以来、悠太とは口を聞いていない。
お互いに、なんだか気まづくて、話しかけることがなくなった。
業務連絡や、仕方がないというときだけ話している。
今まで、他愛のない話ばかりしてきたのに、今はもうただのクラスメイトで、仕事仲間で、幼なじみだ。
レッスンが終わったある日、仕事帰りの流くんとばったり会い、近くの喫茶店に入った。
「千代、深くは突っ込まないようにしてきたけど、悠太と何かあったのか?」
神妙な面持ちで、流くんは問いかけてきた。
「え……あー、うん。ちょっと」
目を合わせることが出来なくて、視線を逸らした。
「話してくれないか?」
「……うん」
何から話そうか、少し考えて、私は全てを打ち明けた。
「……そういうことか」
「こんなに長く一緒にいたのに、悠太の考えてることがよくわからなくて」
「まとめると、悠太は千代のことが好きで『千代と俺のキスシーンで千代の初キスが奪われる』それが嫌だった。だから、悠太は強引に千代と唇を奪った」
「……」
「そういうわけだろ?」
「そうなの、かな」
「それしか考えられないからな」
「でも、そこまでして、悠太がどうして遠回しに気持ちに気づかせようするの……?」
直接いえばいいじゃない
「さぁ、それはわからない」
「……」
やっぱり、私が直接聞いてみるしかないのかな
「そう考え込まない方がいい。多分、悠太も悠太なりに色々考えてると思うんだ」
「うん……でも、モヤモヤするのは嫌なの。だから、明日1度話してみる」
「ああ。また何かあったらなんでも言えよ?」
「ありがとう、流くん」
流くんは、「俺が奢る」と言って、私を先に帰らせた。
「悠太は何を怖がってるんだか。こんなんだと簡単に奪われるぞ。敵は多い、からな…」