As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
大きなエンジン音を鳴らしながら、バイクはどんどんと学校から遠ざかっていく。
どこに向かうつもりなんだろう。
しばらくバイクを走らせること、約10分。
着いたのは……
「どこ?」
「見ての通り、撮影現場」
「ん?」
撮影現場?
私、今日は何もスケジュールは無いはずだけど。
「新作香水の広告撮影」
香水……
「もしかして、圭くんのご両親の?」
「そそ」
「なんで私が!?」
「なんとなく。まぁ、出演とは言っても、目元より下しか出ないんだけどね」
確かに男性メインで、絡み役の女性は、顔出さずに、目より下とか、後ろ姿だけでで出演することってあるよね
「う、うん。分かった」
「ってことで、着替えてきてね〜」
控え室で、衣装に着替え、メイクをしてもらう。
撮影が始まると、すぐに絡みシーン。
「はい、じゃあセットのソファでうつ伏せになってくれるかな」
「はい!」
黒いソファに、背中の開いた大胆なドレスでうつ伏せになる。
そこに、圭くんが四つん這いになる。
見えないとはいえ、距離が近い。
き、緊張する……。
相手が知っている人だと余計……ね。
「首元に顔を近づけて……そうっ!」
わわっ、ち、近いよ!
「よし、じゃあ次は、君が彼の首元に這うように……」
圭くんにエスコートされながら、私は顔を圭くんの首元に近づける。
ドキドキしてしまう。
そんな撮影は、あっという間に終わった。
「どうだった?」
「どうって……びっくりしたよ」
「ごめんごめん。って、もうお昼過ぎてるね。どうする?何か食べる?」
もう、2時を回ろうとしていた。
緊張して、あっという間に感じたけど、そんなに時間が経っていたんだ。
「……ううん。私は帰るよ」
「なら、送っていく」
「ありがとう」
また、圭くんのバイクに乗ると、家まで送ってもらった。