As sweet honey. ー蜂蜜のように甘いー
一緒に課題をしているうちに、外の景色は一変し、うっすらと月が見え始めた。
「んー、お腹空いたー」
「何食べたい?作るよ」
「じゃあ……千代特製ふわふわオムライスがいいなっ」
「了解」
胸下まで伸びた髪をゴムで束ね、愛用のエプロンを着ける。
冷蔵庫から材料を取り出すと、早速調理を始める。
もう随分と手馴れたものだ。
「千代、奥さんみたい」
「えっ?」
ソファで後ろを向き、頬づえを付きながら私を見る。
「うん?エプロンしてさ、千代はご飯作って、それを待つ僕。なんか僕達新婚さんみたいだなーって思ったんだけど」
ニコニコとしながらそう言う悠太。
「っ……そんな笑顔で言わないでよ、恥ずかしい」
はぁ、たまに突拍子もないことを言うんだから……
それが意識してやってるのか無意識なのかはわからない。
「……はい、出来たよ」
「お、美味しそう!」
「美味しそう……じゃなくて美味しいの」
「うんうん、千代の作るものは何でも美味しいもんね」
エプロンを外すと、テーブルに向かい合わせで座った。
テーブルには、オムライスとサラダ。
「いただきます!」
「どうぞ」
「ふむ……んー、美味しい!」
「ふふっ、良かった」
「千代のオムライスは世界一だ」
「それは大袈裟過ぎだよ」
「そのくらい美味しいってこと」
「……ありがと」
「照れてるー」
「照れてない」
悠太は、休む暇なくあっという間に間食してしまった。
「ふぅ、お腹いっぱい。ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした。悠太、この後はどうするの?帰る?」
「どうしようかな。別に帰っても誰も居ないし………千代がどうしても帰って欲しくないって言うなら今日は泊まっていこうかな」
「帰っても大丈夫だよ?」
ちょっと意地悪を言ってみる。
「え、いや……その、泊まりたい……です」
「分かりましたー」
「千代の意地悪」
「仕返しだよ」
「やっぱ、千代にはかなわないかも」
「悠太のパジャマは……あぁ、ゲスト用のがあった気がする」