あなたにキスの花束を
***





花屋? フラワー!?

こんな時間にも関わらず、店頭に零れんばかりに飾られている花々を見遣って、私は呆気に取られてしまった。

花屋にも深夜営業ってあるんだ。

見てみれば、店内には疎らに客の姿が見える。
綺麗に着飾って、あれはホステスさんかな、キャバクラ嬢なのかな。

繁華街近くだから、夜のお店で結構需要があるのかもしれない。

感心している私の手を、司さんが引く。

明るい店内に入ると、とりどりに咲く花々の色の洪水に、少し眩暈がした。
温室育ちの花なのだろう。こんな寒い季節だって、あまり関係が無いに違いない。



「あの、ここで何するんですか」

「花を買うんだよ、もちろん」

「あ、司さんの好きな人に告白するために?」

「そう」

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