二人の未知~X'mas短編ストーリー~
「彼女サンとはどう? 上手くいってる?」
「…ああ…まあ、ぼちぼちかな?」
「ぼちぼち!? なにそれ?‥」
目を反らしながら言うトオルに奈美は半ば呆れながら返した
「お前は? 新しい彼氏…」
聞きながら胸がざわめく
「彼氏? うーん…いないよ…」
‥いない──?
よかった‥
まだ遅くない‥
奈美の言葉を聞いてトオルはホッと息を吐く‥
「まだ、片想いだから……中々上手くいかないんだよね…」
「…っ…片、想い?」
「うん……はは、難しいよね…想いを伝えるって…」
頬を染めながら照れたように笑う奈美に俺は胸が詰まった──
「──…好きな奴、いるんだ?…」
「うん…」
‥な、んだ…
…っめちゃめちゃ手遅れじゃん…
ちょっ‥と
胸が痛い──
照れくさそうに笑う顔に胸が妬ける
初めてみた奈美の恋をしてる顔‥
そしてすごく…綺麗だと思った…
俺じゃなく、誰かを想って浮かべたその表情を俺はとても見ていられなかった‥
「そ、か…奈美はもう、新しい一歩を踏み出してるんだな…」