エリート上司に翻弄されてます!
何も言わないで消えるのはやめて。
じゃあ、離れるときもちゃんと彼に伝えなくてはいけない。
軽く深呼吸をする。
そしてドアノブを握ったその時、ピーンポーンと軽快な音が部屋に響いた。
私の視線は玄関へと向けられる。
もしかしてまた会社の人だろうか。
音を立てないようにして玄関扉に近づくと穴を覗く。
そしてそこに立っていた人物に安心すると私は鍵を外してドアを開いた。
「何だ、アンタか」
日高さんは私のことを見るとはぁと溜め息を吐いた。
「先輩寝込んでるんです」
「まだ?ふーん」
「日高さんはどうして……」
「今日の企画の資料。全部俺が代わりに仕事したから持ってきた」
そっか、乾先輩のお仕事はほとんど日高さんがやってくれたんだった。
私は「ありがとうございます」とその資料を受け取った。
「さっき宮根さんとかも来ましたよ?一緒に来なかったんですか?」
「俺が一緒に来ると思うの?」
「思わなかったです……」
何かすみません、と謝ると彼の視線が更に厳しくなった気がする。
私はその視線に怯えると少し後ろへ下がった。