エリート上司に翻弄されてます!
午後から企画に協力してくれる工場の方がやってくるとのことで乾先輩たちが迎い入れることになった。
私はそのお茶出しとして働かなければいけない。
工場が関係してくるということはもう企画自体は出来上がっているんだ。
今はちゃんと仕事のことに集中しないと何かしらやらかしてしまいそう。
いつも通りの私に戻ろう。
失礼します、とドアをノックして応接間の中に入る。
そこには課長と乾先輩、そして日高さんがいた。
他に人はまだ来ていないようだ。
「は、早かったですかね」
「いや、もう直ぐ来るみたいだから。ありがとう綾瀬」
「あ、」
「……」
はい、と視線を下げて乾先輩のことを見ないようにする。
会社で会うとどういう顔をしていいか分からなくなる。
普段通りの後輩でいたいのに。
取り敢えず課長たちの分のお茶は置いておこうとテーブルの上に並べていく。
すると誰かの電話の着信音が鳴った。
「俺だ、すまんが来たら迎い入れておいてくれ」
課長はスマホを片手に立ち上がると応接間を出て行ってしまった。
取り残された私たち3人は思わず会話がなくなってしまう。
どうしよう、乾先輩と気まずいのは勿論として、日高さんとも今は話しにくいのに。
チラッと助けを求めて彼の方を向くとそれに気が付いた彼は「何見てんだよ」と思っきり睨みつけてきた。