エリート上司に翻弄されてます!
と、部屋のドアがノックされる音が響いた。
仕事モードに入った乾先輩は腰を上げると「どうぞ」と返事をする。
それに合わせて立ち上がった日高さんと一緒に私も姿勢を良くした。
「こんにちは、坂下工場のものです」
入ってきたのは男性2人と女性が1人。
全員が同じ作業服に身を包んでいる。
この工場はうちの電気会社の傘下にあって、普段からお世話になっていることが多い。
私もその工場の人に会うのはこれが初めてだけど。
「今回はよろしくお願いします。丁度上司が席を外してまして、もう直ぐ戻ってくるんですけど」
お座りください、と乾先輩が中心となって対応する。
こうやって仕事をしているときはやっぱり頼りになって格好いいと思う。
私は工場の方々の前にお茶を置いていくと唯一の女性である人が一心と何かを見つめていることに気が付いた。
なんだろうと目で追うとそこにいた人物に瞬きを繰り返す。
彼女の視線は乾先輩へと向けられていた。
長い髪の毛を束ねた髪型のその彼女は私よりも年上だが、日本の女性特有の美しさを感じた。
綺麗な人だな、けれど何で乾先輩のことを見てるんだろう。
こんな美人な人でもやっぱり彼みたいなイケメンが気になるのかな。
こんな人も工場で働いたりするんだ。
と、
「やっぱり……」
「……え?」
その女性はそう言うと立ち上がって乾先輩のことを指差した。