エリート上司に翻弄されてます!
日高さんに乾先輩とこのことが知られてしまってから暫くの事。
彼は特に気にすることもなく、興味がなさそうに「あっそう」とだけ言っていた。
あれからも普通に乾先輩とは仕事しているみたいだし、特に心配することはなかったのかもしれない。
取り敢えず同居のことといい今回のことといい、知られてしまったのが他人に興味がない日高さんで本当に良かったと思う。
もし他の人にばれてたらどんなことになっていたか……
考えるだけで恐ろしい。
仕事の帰りにスーパーへ寄って夕御飯の食材を買っていると乾先輩から電話が掛かってきた。
珍しいなと思いながらも取ると彼はまだ会社にいるようだった。
『深桜ちゃん?悪いんだけどちょっと今日御飯いらないかも』
「お仕事延びるんですか?」
『いや、飲みに誘われてさ。相手会社だし、断るわけにもいかないから』
「そう、ですか」
『もしかしてもう御飯作ってた?』
「あ、いえ。今スーパーで買い物してる途中でして。良かったです」
『……そう』
本当にごめんね、だけ言うと乾先輩は電話を切った。
久しぶりに飲みだって言われただけなのに、何でこんなに寂しがってるんだろう。
私はカゴの中の食材に視線を戻す。
色々メニューを考えていたのが一気に崩れていくのを感じた。
何処かで、彼に御飯を作れることを喜んでいたのかな。
私はその中の1つを手に取ると棚へと戻した。