エリート上司に翻弄されてます!
そう声を挙げると「そうこなくっちゃ」と彼は子供のように顔を緩めた。
どうしてこの人の笑顔はここまで安心をくれるんだろうか。
乾先輩の言葉で少しは救われたが、このことはいつまでも私の心に纏わりつきそうだ。
そう思っていると何を思ったのか、彼は私の腕を引いて体を抱き寄せた。
何事!?、と驚くと彼はいきなり私の頭を撫でくりまわした。
「はいはい、深桜ちゃんはいつも真面目で偉いですねー」
「!?」
「何でもしっかりしてて、疲れもいっぱい溜まってるのに顔に出さないし」
「ちょ、先輩、何してっ」
まるでいつもと立場が逆転したかのようだ。
暫く私の頭を撫でると今度は落ち着かせるように優しく背中を叩いた。
「深桜ちゃんが頑張ってるって皆知ってるから。だから誰もこんなことで深桜ちゃんのことを嫌いになったりしない」
「っ……」
「そんなやついたら俺がぶっ飛ばすよ」
あぁ、そうか。私謝るのが怖かったわけじゃない。
あそこにいる人たちに嫌われてしまうのが怖かったんだ。
今までの信用が落ちてしまうのが怖かった。
「毎日毎日、俺たちのために働いてくれてありがとうってお礼を言いたいくらいなんだからさ」
乾先輩は私から離れるとくしゃくしゃになった髪の毛を元に戻した。
そして最後におでこを人差し指でツンっと突いた。