エリート上司に翻弄されてます!
「……みお」
「失礼します」
一瞬後ろに引くと彼の表情が歪む。
このまま彼の側にいたら自分が壊れてしまいそうに感じた。
もっと乾先輩に嫌われてしまう。
だからせめて涙が溢れる前に。
私は彼に背中を向けると駆け出した。
「(私はいつも自分に言い聞かせているだけだった)」
乾先輩がいつか私を好きじゃなくなることも。
彼が他の人を好きになることも。
言い聞かせて分かっているふりをしていた。
そうなっても傷付かないと思っていた。
けれど実際になってしまえば、私はその悲しみに耐えられず立っていることもままならない。
いつからこんなに弱くなってしまったんだろう。
乾先輩は美しいものが好き。キラキラしてるものが好き。
今の私は彼が求めるものから程遠い。
そんな私が彼の側にいたら嫌われてしまう。
「(そうだ、私は……)」
彼と一緒にいたかったんじゃない。
私のことを好きでいてくれる彼と一緒にいたかったんだ。
優越感で心が満たされることが心地よくて、気づいた時には彼の温かさから離れることが出来なくなっていた。
1度入ってしまったぬるま湯からは出られないんだ。