エリート上司に翻弄されてます!
このままでいたら、この男も綾瀬も駄目になるのは目に見えていた。
「じゃあ好きって言ったんですか?」
「はぁ!?言ったに決まって……」
そこまで言って彼は自分の口を片手で塞ぎ、そして目を張った。
この様子から見るに、ちゃんと伝えていないんだろう。
そうじゃないとあそこまで綾瀬が参る必要もない。
この2人を見ると何故か苛立つ。
ただ俺が完璧主義だからかもしれない。
だけど何回も綾瀬が泣いているのを見てきて思っていたことがある。
こんなに苦しそうな思いをするなら諦めてればいいのに。
社員旅行で彼女が自分の気持ちを吐露しているのを聞いて、何処かしらで自分の気持ちにも気が付いていた。
綾瀬の涙に苛立つのはそれがやり切れた涙ではないからだ。
そんな涙をもう流させたくない。
「乾さんがそんなんだったら」
俺は彼が知らない綾瀬を知っている。
「俺が貰います」
自分が何を言っているのか、理解は出来てきた。
それを聞いた彼はあからさまに動揺したように俺を見た。
「な、お前いつから……」
「別に好きじゃないですけど」