エリート上司に翻弄されてます!




「私も謝らなきゃいけないこと沢山あって、自分の勘違いで先輩のこと傷付けるし、全然先輩の気持ち分かってないし。でも先輩が桐乃さんと仲良くしてるの見て嫉妬して……」

「深桜ちゃん?」

「確かに私のこと好きで一緒に暮らしてたって知ったのは驚いたけど、でもそれまで先輩は私に何もしなかったし、私も何度も先輩のことを意識することがあったからお互い様だと思うんです」

「……」


それにきっとあの出来事がなかったら私は乾先輩のことを好きになってない。
これからもずっと会社で上司と後輩の仲で過ごしていって、自分のこの気持ちには気が付いていなかった。


「先輩が私のご飯美味しいって食べてくれるの嬉しいし、美容にうるさいのは嫌だったけど、たまに弱る先輩も新鮮で楽しかったし、先輩のこと甘やかすのも嫌いじゃないですよ!」


ずっと胸につっかえて言えたかったこと、この際だから全部伝えてしまおう。
私は素直じゃないからこれっきりまた言えなくなってしまうかもしれないけど、その度自分なりに試行錯誤して伝えていければいいんだ。

そしていつかは言葉がなくても伝わり合えるような、そんな関係にもなりたい。


「私も先輩のことが好きです。だからずっと一緒にいてくれませんか?」


言葉だけじゃ伝わらない想いがこの世にあるとしたら、きっとそれはこの気持ちだ。
もっともっと先輩と通じ合いたい。この気持ちを届けたい。

貴方が好きだと、叫びたい。


「全部台詞言われたね、俺」

「そ、そうですか?」

「うん、男前すぎるよ深桜ちゃん」




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