エリート上司に翻弄されてます!
少なくとも、彼なら私がいいって笑ってくれるはず。
その姿を見て走り出すと彼はそんな私に気が付いて驚いた表情を浮かべていた。
そして乾先輩の目の前までやってくるとその表情を見上げる。
「深桜ちゃ……何でここに」
「先輩……」
「て、」
乾先輩の視線が私が握っていたスマホへと注がれる。
すると一気に彼の顔が赤くなり、そして片手で顔を覆うともう1つの手のひらを私の顔へと向けた。
「ちょっと待って!確かに時間が欲しいって言ったけど、こ、こんな直ぐってわけじゃ」
「え?」
「言うこと全然まとまってないし!あー、糞!すっげー動揺してんだけど!」
相当焦っているのか、普段の口調とは打って変わり、ナルシスト具合もどこかへ飛んで行ってしまったようだ。
彼は赤面している自分の顔を隠すように両手で顔を覆うと「格好つかねぇ……」と声を漏らした。
そんな彼が新鮮で緊張していた私も自然と顔が綻ぶのを感じた。
あぁ、今なら言われなくても分かる。彼が私のことをどう思ってくれているか。
どうしてもっと早くに気付けなかったんだろう。
「じゃあ私から話があるんですけど、いいですか?」
そう不敵に笑って言うと彼は指の間から私のことを窺っていた。
「私も先輩に話があるんです」