エリート上司に翻弄されてます!
乾先輩は私に手を伸ばすと頭を撫でて微笑んだ。
この人がこうやって気を遣える人でよかったと安堵すると靴を脱いでリビングへ向かう彼の背中を追う。
と、
「深桜ちゃんも嫌でしょ、別にそんなことしたくもないのに」
あははと乾いた笑いと一緒に彼はそう声を漏らす。
私はその言葉にぴたりを足を止めた。
嫌?私嫌だったのかな?
確かに恥ずかしいって気持ちがあるけど、乾先輩にそういうことされるの嫌なのかな。
「(違う……)」
やっぱり小牧が言っていたように乾先輩は私のことを気遣ってブレーキを掛けているんだ。
私のことを好きだという気持ちに我慢なんてして欲しくないのに。
私は嫌じゃない、乾先輩と先に進むの。
そのことを勘違いして欲しくない。
「深桜ちゃん?」
「……」
彼の服の袖を掴むとゆっくりと顔を上に上げる。
視界の中に彼の驚いた表情が映った。
そして、
「と、まんなくていいです」
「っ……え」
「止まんなくていいです。衝動でしていいです」