エリート上司に翻弄されてます!



フレンチトーストを食べる20代後半男性。
この人は性格も女性寄りなんだよなぁ。

彼はデトックスウォーターを作り終えると「じゃあ着替えてくるわー」と寝室の方へと歩いていく。
初めは結構彼の前でスッピンを見せることに抵抗があった。
自分のことを美しいと称える彼が私のスッピンなんか見たら何か凄い罵倒を浴びされそうと思ったからである。

が、意外にも彼は「意外と化粧薄いのな」とだけ言った。
きっとこの人、自分の顔が好きすぎて他の人の顔は全部一緒に見えるんだろう。

ナルシストも拗らせるとここまで来てしまうんだなぁ。


「(先輩、私はあなたを……)」


オカマだと思って一緒に暮らしております。
私のことを全く女扱いしないものだからそんな考え方が生まれるのもおかしくはない。

あの人をオカマだと思うことによって私と男性と一緒に暮らしているという意識も薄まり、過ごしやすくなるのだ。
私はささっとフレンチトーストを焼くと今日の予定を立て始める。

誰とも遊ぶ約束もないし、家でのんびりするのもいいけれど乾先輩もいるしな。
あの人チャラそうに見えて休日は家でゆっくりしてることがあるし。

それに私も家にいたら「一緒にジョギングしよう!」と運動させられる。


「(でも先輩の言ってること、何だかんだ胸に突き刺さるんだよなぁ)」


たまに美しさを追求する乾先輩を羨ましく思える時がある。
私は初めから自分に諦めてそんなこと考えたことがないから。

自分磨きは大事なことだと思う。
あんまり意識したことはなかったけど自分に恋人が出来ないのは自分に魅力がないからだ。

何かそう考えると悲しくなってくる。


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