エリート上司に翻弄されてます!
「深桜ちゃんってば乱暴過ぎるよ。甘えたいだけだったのに」
「ここは会社ですよ!やめてください!」
「だって家まで我慢出来なかったんだもん」
そんなことで仕事中ここまで呼び出したのか!
俺の顔殴れるの深桜ちゃんぐらいだよ、と彼はやれやれと息を吐いた。
確かに乾先輩は普段よりも疲れが溜まっているように見えた。
最近は新しい商品開発の中心メンバーで動いているし、家に帰ってくることも少ない。
そのことを思い出すと私は怒るに怒れなくなった。
「でもこんなことで呼ばないでくださいよ!ビックリしました!」
「ごめんね、でも深桜ちゃんに癒されたかったから」
「……」
「ちょっとの間頭撫でててくれない?元気チャージするからさ」
そうして乾先輩はあざとく顔を傾けると軽く微笑んで私を見た。
私がその顔に弱いってことを知っているんだな。
「……ちょっとでしたら」
そうです、弱いんです。
その言葉にぱあっと顔を明るくすると乾先輩が私の首に腕を回す。
まるでそれは飼い主に呼ばれた犬のようで、私はその後ろに尻尾がフリフリと触れているのが見えた。
抱き着かれているのに近い体勢なのに全くそんな雰囲気にならないのは彼が完全に犬と化しているからだろうか。