そこには、君が







体がもっと熱くなる。


こんな感覚初めてで、


何が何だか分からない。


いつの間に誘導されたのか、


布団の前に辿り着いている。


徹平さんは、キスをしながら、


何度も頰を撫で、髪に触れ。


さっきまで冷たかった手が、


違う手のように熱くなっていた。







「ふっ、んん…や、」







こんなこと初めてな私は、


何をしていいか分からず、


右手で徹平さんの浴衣の裾を握り、


もう片方は手をぎゅっと握る。


徹平さんは、私の手を探るように、


引きながら握りしめ、


もう片方の手で私の腰を支えた。








「かわい、」







徹平さんは、キスを止めると、


短くそう言った。


何度も言われているはずなのに、


何故かその一瞬で力が抜け。







「わっ…!」







支えられながら、


後ろから布団へ転んでしまった。








「……大丈夫?」






「あ、はい。…あの徹平さん、は?」






息が途切れて、言葉が詰まる。


自分を整えるのに必死で、


何も考えられない。


目の前の徹平さんに、


私は溺れ過ぎている。







「っ、」






開放感。


それもそのはず。


浴衣を止めていた腰紐が、


緩んだから。







「……恥ずかし、」







徹平さんは紐を解くと、


浴衣を右へ左へと退けた。


部屋は暗かった。


なのに少し明るいのは、


月のせい。








「あんまり…見ないで、」






恥ずかしさのあまり、


そう口に出すと、


徹平さんは笑って。







「無理」






と言った。







「すごい綺麗」







そう言って、


触れるか触れないかの距離で、


おヘソから上へなぞられる。


今まで知らない感覚に、


体が、頭が、おかしくなりそう。







「や、だ…」






「何?」






「だ…だめ」







体が疼く。


中が熱い。


痺れるような、そんな感じで。







「やっ…んぁ…てっぺ…」






急に顔を近づけキスをして。


私の体を片手で軽く持ち上げると、


簡単だ、と言わんばかりに


私の背中へ手を回し。


容易にホックを外した。


そのせいで緩んだ下着が、


キスをするたびに上へと上がり。


乱れた徹平さんの肌に、


露わになった胸が、


少しだけ触れた。







「徹平…さぁ…っん、ぁ」







熱い手が頰から肩、


肩から胸へと。


移動していくのが分かる。


肌に触れられていること自体、


初めてのことなのに。


ましてや、それが徹平さんだから。


尚更心臓が破裂しそうで。







「ごめん」






大好きだと思った。




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