そこには、君が





それから2週間ほど経って、


毎日嫌がらせが続いた。


靴が無くなっていたり、


カバンに虫が入れられていたり。


ノートに落書きされていたり、


机が廊下に出されていたり。


そして今。


いじめの定番と言える状況で、


トイレにいる私。


外には顔も見えない女の子たちがいて、


早く出て来いと言ってくる。







「あの、誰ですか?」





「誰でもいいでしょー?早く出てきなさいよ」





「待たせんなって、クソ女ー」






ガラの悪そうな女の子たちが、


次々と声をかけてくるのを、


私はひたすら無視。


しまったな。


トイレに行っていること、


誰にも言ってないし。


助け、呼べないな。







「あの、」





どうしていいか分からず、


どこかへ行ってもらうよう交渉するも、


全く退く気配がない。


出た方がいいのかな。


そんなことを考えていると。


上から何かが降ってきて、


私は一瞬の間に全身濡れた。


バケツの水か、ホースからの水か。


私は顔も見えない女たちに、


全身濡らされている。







「最悪……、」





女たちは高笑いをして、


トイレから出て行った。


私はしばらくその場に佇み、


ポケットに入れていた唯一濡れていない


ハンカチで顔や髪を拭う。


もう最低な気分だ。


このやり場のない沸々と沸き上がる怒りが、


今にも表に出ていきそうだ。








「うわ〜、ひどいねその姿」






トイレから出て中庭に出た時。


後ろから声をかけられ、立ち止まる。


この声はと寒気がし、


ゆっくり振り向くとそこには


私を嘲笑っている黒田くんがいた。







「いやー、本当に君は僕を楽しませてくれるね」






「…は?」






「その滑稽な姿といい、無様で言葉も出ないよ」






そう言われて濡れた自分の姿を見た時、


カッターシャツが濡れたせいで


下着が透けていることに今気付いた。


慌てて両手で隠すも、


素肌に引っ付くシャツが


全部を露わにしている。







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