深夜1時のラブレター


* * *



「いやー、年が明けたと思ったらもう1月も終わりって、どういうこと?」

「ほんとですよねー」

「きっとさぁ、年々こういうこと言うんだよ」

「嫌だなぁ、なんかおばあちゃんになった気分」



ほまれは、あれからずっと眠ったままだった。

けれど容態は安定しているらしい。

私は彼の安否を気にしながらも、会には行けず。

答えを出せないまま時間ばかりが過ぎっていき、バレンタインデーの季節になった。

会社のロビーは、可愛らしいピンクの風船で飾りつけがされており、世の中はピュアな恋愛ソングで溢れている。

"浮足立つ" まさにそんな言葉が似合う中、私の心はずっしり黒く沈んでいた。

そんな頃だった。



「あいちゃーん!下にお客さん来てるよー!」

「はーい!すぐ行きます!って言ってください」



受付からの内線電話を受け取った山城さんにそう伝えながらも、キリに良いところまで片付けようと仕事に取り掛かる。

きっと大塚先生がほまれの状態を教えに来てくれたのだろう。

あれから何度も会社に足を運んでくれている先生とは、すっかりお茶友達になっていて、この後も近くのカフェに誘うつもりだ。

いい加減、答えを出さなきゃいけないのだけど……。



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