白鷺の剣~ハクロノツルギ~
◇◇◇◇◇◇◇◇

それから私は、毎日慈慶さんのお寺へお邪魔した。

白鷺は私が連日いそいそと出掛けるものだから、やれ何処に行くんだとか、誰と会うんだとかしつこく聞いてきたけど、私は友達が出来たとだけ答えた。

……刀に宿っているのなら、お墓に行っても無駄かもしれないけど、私は毎日お墓参りをして彼の墓前に手を合わせ続けた。

そんな数日が過ぎたある日の夜。

「……女」

低くてかすれた声が耳元で聞こえた。

眠っていた私は、一瞬白鷺に起こされたのかと隣を見たけど、彼はスヤスヤと眠っている。

やだ、怖い……。

悪寒が走ったけど、私の心境を無視して声は続いた。

「俺は西山白鷺から白鷺一翔を買った男だ」

予感はしていた。

私は弾かれたように辺りを見回したけど、行灯の灯りがゆるゆると部屋に揺れるいつもの光景だった。

白鷺を揺り動かして起こしたいのに、何故か身体が硬直してそれが出来ない。

「安心してくれ。危害を加える気はない」

怖いけれど、それを信じるしかなさそうだったから、私は震えそうになるのをこらえながらゆっくりと頷いた。

「名は……弥一」

やいち……。

姿はどこにもなかったけど、私は返事を返した。

「……弥一さん……私は柚菜と申します」

「柚菜、お前は……俺の墓に通ってくれたな。死んでからというもの、あんな風に経を唱えてくれたのはお前だけだ」
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